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現地レポート

鏡はずっと見てきた RSS

2015年12月24日 14時54分

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シューターの矜持は打ち続けることにある。たとえ前半10本打って1本も入らないとしても、後半それでもまた10本打てる選手が“真のシューター”である。

8本の3Pシュートを決めた安城学園⑬須田 多恵選手

8本の3Pシュートを決めた安城学園⑬須田 多恵選手

「JX-ENEOSウインターカップ2015(以下、ウインターカップ2015)」は2日目、女子2回戦、愛知・安城学園が第3シードの東京・東京成徳大学を84-81で破って、3回戦進出を決めた。前半を終えた時点で10点ビハインドをしていた安城学園が、1対1で得点を量産していたキャプテン④土田 帆乃香選手をファウルアウトで欠きながら、それでも逆転で勝利できたのは、2年生シューターの⑬須田 多恵選手の存在が大きい。前半だけで3本の3Pシュートを決めると、中盤、連続してシュートが外れる場面こそあったものの、彼女は打ち続けることで再び道を切り開き、合計8本の3Pシュートを沈めている。

 

昨日の1回戦、奈良・奈良文化戦でも10本の3Pシュートを決めた須田選手だが、中学時代からシューターだったわけではない。むしろ「中学時代は3Pシュートを打ったことがなく、シュート自体の自信もなかった」と言う。しかも金子 寛治コーチは入学当初、須田選手をポイントガードにしようと考えていたそうだ。しかし彼女の「ボールの持ち方に天性のものを感じた」金子コーチは、須田選手をシューターとして起用することにした。

当初こそ戸惑っていた須田選手だったが、「1年生のときの新人戦でシューターとして1本も決められませんでした。それが悔しくて、練習しました」と振り返る。安城学園ではチーム練習として、鏡の前でボールを持たずにシュートフォームを繰り返すドリルがあるそうだ。それをほぼ毎日、1日100回以上繰り返してきた。また昨年のウインターカップ前に右手親指を骨折し、ボールを持てない時期が2か月あったのだが、その間もひたすら鏡の前に立て続けた。その結果が今日のような競った展開の中で「イメージどおり打てた」要因なのである。

ルーズボールでも執念を見せた須田選手(手前)

ルーズボールでも執念を見せた須田選手(手前)

もちろん重要な場面でシュートを決めるためには、フォームだけでは足りない。シュートを打ち続け、しかも決めるイメージを強く持つメンタルも必要になる。しかもそれは競り合いの様相が強まれば強まるほど、重要になってくる。しかしその点は昨日のゲームで10本の3Pシュートを決めたことで準備もできていた。須田選手が言う。

「(東京成徳大学は)3Pシュートに対して厳しいディフェンスをしてくるだろうけど、それを嫌がらずに、前向きに打つことだけを考えました。チームの得点として、3Pシュートは欠かせないと思っていましたから」

須田選手のコートネーム――チームメイトから呼ばれるニックネーム――は「レイ」。チームメイトを「励ます」から名付けられたそうだが、本人は「全然励ましていませんよね。むしろ負けているときは少し焦っていたんですけど、チームメイトから励まされて打つことができました」と笑う。自分の出した結果に、もうひとつ自信が持てないのかもしれない。まだまだ発展途上なのだから、そう思うことは決して悪くない。だがサッカーの香川 真司選手がこんなことを言っていた。

「結果を出したら自信を持てばいい。その自信が導いてくれる成長の歩幅の大きさは計り知れません」

誰よりも鏡の前に立ってきた。その自信だけはある。安城学園が誇る176cmのシューターは明日も、たとえどんな状況に陥っても同じシュートフォームでシュートを打ち続ける。

84-81で3回戦進出を決めた安城学園

84-81で3回戦進出を決めた安城学園

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