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現地レポート

俺たちの誇り RSS

2015年12月27日 16時59分

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敗れてなお清々しい表情を浮かべるのは、自分たちのバスケットをやりきったからだろう。

「JX-ENEOSウインターカップ2015(以下、ウインターカップ)」は5日目、男子準々決勝。大会3連覇を目指す宮城・明成が東京・八王子学園八王子を85-72で下し、準決勝進出を決めた。

前半を終えた時点で46-27と、明成が19点リード。貫禄さえ漂う王者が、このまま一気に勝利をつかむかと思われた第3ピリオド、八王子学園八王子が④新屋 広晃選手、⑧多田 武史選手の3Pシュートなどで一気に得点差を詰める。キャプテンの新屋選手は今年のチームの強みを「流れが来ると一気に乗れる力」と言うが、その言葉どおりの爆発力で明成を追い詰めたのだ。

最後まで攻め続けた八王子学園八王子④新屋 広晃選手

最後まで攻め続けた八王子学園八王子④新屋 広晃選手

しかし勢いは同時に不安も生む。

「行けると思う気持ちと、まだ第3ピリオドが終わったところだし、明成が息を吹き返してくるのではという怖さの半々でした」

新屋選手は、できれば第4ピリオドの終盤で追い上げられたらとも言うが、それが「たられば」であることもよくわかっている。むしろ第3ピリオドで追いついていなければ、第4ピリオドの序盤でリードを奪うこともできなかったし、その後の接戦も難しかったかもしれない。一度火の着いた八王子学園八王子の勢いは、ちょっとやそっとの消火活動では、たとえ自チームの人間であっても止めることはできないのだ。むろん誰一人として火の勢いを落ち着かせようとは考えていなかったし、むしろベンチもスタンド席も懸命に油を注いでいた。新屋選手が笑顔で認める。

「ベンチも流れが来たら盛り上がってくれるので、自分たちもイケイケになれます」

八王子学園八王子と明成は全国大会以外でも、今シーズンは2度対戦している。しかし共にどちらかの主力が欠けており、フルメンバーで戦ったのは今大会が初めてだ。

「やっぱり明成はフリーのシュートを確実に決めてくるし、簡単なミスが少ない。バスケット自体も簡単にプレイします。自分たちが手一杯な感じでバスケットをやっているのに対して、彼らには余裕を感じます」

盛り上がる八王子学園八王子ベンチ

盛り上がる八王子学園八王子ベンチ

それでもやはり手応えのほうが大きかった。悔しい思いもあるが、王者・明成をあと一歩まで追い詰め、ベンチを、スタンド席を、そして会場全体の雰囲気を変えた自負もある。
石川 啄木は「一生に二度と帰ってこない、いのちの一秒だ。おれはその一秒がいとおしい。ただ逃してやりたくない」と言ったが、彼らもまた一秒一秒を、最後の最後まで――新屋選手に至っては残り12秒で両足に痙攣を起こしながらも「最後までコートに立っていたかった」と、戦い続けた。

♪俺たちの誇り、八王子学園。何も怖れずに、共に戦おう!

スタンド席の応援団が歌う応援歌が心に響くゲームだった。

スタンド応援団の声、歌もコートの選手たちに届いたはずだ

スタンド応援団の声、歌もコートの選手たちに届いたはずだ

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