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2012北信越かがやき総体(インターハイ) 大会第5日目 男女決勝カード決定 現地レポート

2012年8月2日

 「平成24年度全国高等学校総合体育大会 第65回全国高等学校バスケットボール選手権大会」(以下、北信越インターハイ)は第5日目。男女の準決勝が行われ、決勝カードが決定しました。北信越インターハイのファイナリストは以下のとおりです。

■男子
洛南高(京都)
延岡学園高(宮崎)

■女子
桜花学園高(愛知)
聖カタリナ女子高(愛媛)

 全国の強豪校の1つ、聖カタリナ女子高ですが、実は今回の決勝進出がすべての全国大会を通じて初めてのこと。その道のりは長く、険しいものでしたが、今日の埼玉・山村学園高戦もまた、同じように厳しい戦いになりました。第1ピリオドこそリードしたものの、第2ピリオドで逆転を許すと、その状況からなかなか抜け出せないでいました。しかも第4ピリオド残り7分38秒で、精神的支柱であるキャプテンの#4熊 美里選手がファウルアウト。#5田村未来選手以外はすべて下級生というチーム構成になり、またも決勝進出には届かないかと思われました。しかし驚異の粘りを発揮し、残り2分で2点リードまで持っていくと、そこからまた激しい攻防が始まります。最終的に、終止符を打ったのは、残り40秒、聖カタリナ女子高・1年生の#14篠原 華実選手が放った3Pポイントシュートでした。これで5点リードとし、そのまま聖カタリナ女子高が【89-84】で逃げ切り、接戦を制したのです。

 その篠原選手にパスを出したのは、唯一の3年生である田村選手です。ドライブで強引にインサイドへ切り込んでいってからのアシストを田村選手はこう振り返ります。「1年のときも、2年のときも、自分でドライブに行ったら、すべてそのままシュートまでいってしまって、いつも一色(建志)先生に怒られていたんです。あの瞬間は先生の『(パスを)さばけ!』という言葉が蘇ってきました」。これこそ3年生の、3年生たるゆえんでしょう。これまで何度も怒られたことが、最後の最後、一番苦しい場面で蘇ってきて、勝利につながるアシストを生んだのです。

 田村選手はまた、熊選手が退場したことで不安はあったと言います。1年生たちがしっかりしてきたとはいえ、舞台はインターハイの準決勝です。後輩たちの表情が硬かったのは、当然といえば当然なのかもしれません。そのことにいち早く気がついた田村選手は後輩たち1人ひとりに「笑顔でプレイしよう」と声をかけました。「カタリナは笑ってプレイしていたらシュートが入るんです。本当です。今大会の1試合目、緊張でみんな表情が硬かったときはシュートが全然入らなかったんですけど、2試合目以降、笑顔でプレイしているとシュートも入っていたので、ここは絶対に笑わないといけないと思って、声をかけました」。苦しい場面で笑顔になることほど難しいことはありません。でも笑顔になることでリラックスしたプレイができる。篠原選手が決めた決勝の3Pシュートも、笑顔がもたらしたものといっても過言ではありません。

 男子の準決勝第1試合も厳しい戦いとなりましたが、京都・洛南高が我慢に我慢を重ねて、東京・八王子高を【58-47】で破りました。これで6年ぶりの決勝進出になります。今年の洛南高は吉田 裕司コーチが認めるほどのタレント揃いですが、だからといってスーパースターが集まっているわけではありません。個性豊かな才能(タレント)を状況に応じて、さまざまな組み合わせにして、多彩な色を出しているわけです。

 そのタレントの1人、洛南高のセンター・#7宮脇 隼人選手は結果として3点しか取れていませんが、八王子高のバイセイディイサライ・ジャニ選手、ソレイマン・ゲイ選手に対して真っ向から勝負を挑みました。もちろん何度かは跳ね返されているのですが、終盤の大事なところでオフェンスリバウンドをもぎ取り、ゴール下のシュートをねじ込んでいます。「留学生に対しては怖がらないで、いつもどおりに戦うことを意識しています。昨年からたくさん試合に出してもらって、留学生とも対戦することも多かったので慣れてきたのもあります。ねじ込んだシュートに関してはほとんど気持ちです。『気持ちで押し込め』という感覚です」と言っています。バスケットにおいて状況判断はとても重要な要素ですが、センターたるものときには“強引さ”も必要になります。それが相手のファウルを誘うことにもなるからです。それが相手に恐怖心を与えることにもなるのです。

 明日の決勝戦の相手は宮崎・延岡学園高です。このチームにも200センチを超す留学生が2人います。その1人、ジョフ・バンバ選手は昨年の三冠の立役者でもあり、その意味では経験豊富な選手です。宮脇選手ら洛南高のインサイド陣にとっても、これまでの対戦相手とはまるで違う、最上位クラスの選手です。そのバンバ選手たちを相手にどのようなプレイを見せるのか。これまでどおり、アウトサイドプレイヤーとの合わせのプレイを中心にしながらも、強引さも見せてほしいところです。その強引さが1990年の仙台インターハイ以来の優勝に導いてくれるのではないでしょうか。

 泣いても笑ってもあと1試合。古都・金沢の地で笑うのは桜花学園高か、聖カタリナ女子高か。洛南高か、延岡学園高か。試合開始の時間は刻一刻と迫っています。

 北信越インターハイの模様は、大会特設サイトにて掲載されています。是非、高校生の熱い戦いの模様をご覧ください。