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2012北信越かがやき総体(インターハイ) 大会第2日目 現地レポート

2012年7月30日

 「平成24年度全国高等学校総合体育大会 第65回全国高等学校バスケットボール選手権大会」(以下、北信越インターハイ)第2日目。男女計32試合が2つの会場で行なわれました。対戦しているのは同じ高校生なので、「波乱」という表現は妥当ではないのかもしれません。ですが、もしシード校が初戦で敗れることを「波乱」というのであれば、その波乱は起こりました。第3シードの香川・尽誠学園高が埼玉・正智深谷高に【84-94】で敗れたのです。

 尽誠学園高のエースで、平成24年度男子日本代表候補選手にも選ばれている#7渡邊雄太選手は試合後にこんな反省を述べています。「昨年のウインターカップで準優勝という結果を残して、でもそれは自分たちが何かをしたのではなく、先輩のおかげで勝ち取ったものなのに、自分たちにも力があると勘違いしていたのかもしれません。そんな油断から、大会前も何の保証もないのに『初戦くらいは勝てるだろう』という雰囲気がチーム内にあって、今日のような悔いの残るゲームになってしまいました」。大会前だけではなく、今日の試合中も「どうせ最後は勝てるだろう」という甘い考えがあったと言います。

 冒頭にも書いたように、対戦相手は経験値で大きな差のない高校生です。もちろん渡邊選手は今春からJBLなどでプレイしている大人と一緒に練習をするなど、将来に向けての大きな期待を背負いながら、さまざまな経験を積んでいます。その成果を彼自身としては出せていたと思います。しかしながら、彼1人の経験で勝てるほどインターハイは甘いものではありません。そのことを誰よりも痛感したのは尽誠学園高の選手たちでしょう。秋の国民体育大会、冬のウインターカップに向けて、チームとしてどれだけ底上げができるのか。渡邊選手という「日本の未来」といっても過言ではない選手がいるだけに、尽誠学園高の巻き返しには注目したいです。

 その渡邊選手と同じく、今春から日本代表候補合宿に参加している角野亮伍選手。その角野選手を擁する静岡・藤枝明誠高は第2シードとして、奇しくも尽誠学園高を破った正智深谷高と同じ埼玉県代表の川口北高と対戦しました。結果は【94-72】で藤枝明誠高の勝利。明日は、秋田・県立能代工業高を破った茨城・土浦日本大学高との対戦です。角野選手は「土浦日大は能代工業を倒したことで勢いがついていると思います。だからその勢いをしっかり抑えて、落ち着いたプレイをしたいです」と言います。1年生ながらチームの攻撃には欠かせないピースになっている角野選手。「プレイ中は先輩・後輩というのは関係ないと思っています。でも、やはり僕は1年生ですし、この大会で引退する3年生もいるので、そのことをしっかりと意識して、負ける原因を1年生の僕がつくっちゃいけないと思いながらプレイしています」。明日以降の角野選手のプレイを注目しましょう。

 1年生がインターハイのコートに立ち、そのチームにとって欠かせない存在になっているのは角野選手だけではありません。能代工業高の長谷川暢選手や、大阪薫英女学院高の加藤宇希波選手、石井杏奈選手も1年生ながらプレイタイムをもらっています。しかしこの2日間でもっとも輝きを放っているのは北海道・札幌山の手高の#11西尾友歩選手でしょう。思いきりのよいプレイでチームに勢いを与え、なおかつ163センチながらチームで一番リバウンドへの執着心を見せている選手です。辛口の上島正光コーチも「これからが楽しみ」と述べていました。

 西尾選手はリバウンドについて、「ミニバスのときからコーチに『リバウンドは大切』と言われていて、高校に入って、上島コーチからも『ボールに対する執着力が大切だ』って言われているので、もっと積極的に取りにいきたいと思っています。特にこれからの試合は接戦になると思うので、だからこそリバウンドを大切にしたいです」。あこがれの選手の1人がアジアのリバウンド王・吉田亜沙美選手(JXサンフラワーズ)というのも納得ですし、「小学生のころから札幌山の手高のバスケットを見てきて、誰ということではなく、すべてのOGの方々にあこがれています。その理由が、札幌山の手高の選手にみなさんリバウンドとルーズボールを必死に追うからなんです。私にはそれが一番かっこいいんです」。あこがれの札幌山の手高のリバウンド、ルーズボールを継承する選手として、これからもっともっと成長していってもらいたいと思います。札幌山の手高は明日、山口・慶進高と対戦します。どちらも大きな選手はいませんが、だからこそ小さい選手のリバウンドやルーズボールへの執着心が勝敗を分けるかもしれません。

 第2日目の今日は尽誠学園高と能代工業高以外にも、東京・京北高や女子の沖縄・西原高といった強豪校が敗れました。第3日目の明日はベスト8をかけて、男女あわせて16試合が行なわれます。男子では【宮城・明成高vs.京都・洛南高】、【福井・北陸高vs.宮崎・延岡学園高】、女子では【大阪薫英女学院高vs.神奈川・金沢総合高】、【岐阜女子高vs.愛媛・聖カタリナ女子高】といった強豪同士の対戦もあります。すべてのチームが北信越インターハイで1試合以上を経験した明日から、文字どおりの真っ向勝負が始まります。